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一晩寝かせたカレーはウェルシュ菌のプール…熱してもダメな理由とは

      2017/01/13

一晩寝かせたカレーはウェルシュ菌のプール…熱してもダメな理由とは

ウェルシュ菌は私たちの腸内にも生息している細菌で、海や川、土壌などにも見られます。しかし、中でもエンテロトキシンと呼ばれる毒素を出すタイプのウェルシュ菌は腹痛や嘔吐といった症状が引き起こします。

そして実は、私たちが普段行っている調理法がウェルシュ菌による食中毒の危険性を上げている可能性があるのです。

ウェルシュ菌による症状

ウェルシュ菌はボツリヌス菌と同じように酸素のないところで増殖しやすい菌です。生育しにくい場所では芽胞(がほう)と呼ばれる強固な卵のような形に変わって休眠します。この芽胞の状態になってしまうと加熱だけではなかなか死滅させることができません。

また、ウェルシュ菌による食中毒を引き起こす下痢原性ウェルシュ菌という種類はこの芽胞を形成するときにエンテロトキシンという非常に毒性の高い毒素を作り出します。このエンテロトキシンも熱に非常に強い物質なので、ウェルシュ菌をきちんと殺菌したとしても食中毒を起こしてしまいます。

ウェルシュ菌による食中毒の特徴は潜伏期間が短いことです。汚染された食事をとった後、6~18時間程度で症状が出てきます。食後24時間以降に症状が出ることは稀です。

症状は腹痛や下痢で、頻度は水っぽい・柔らかい便が1日1~3回程度と、劇的な症状が出ることはほとんどありません。また、これらの症状は1~3日で回復します。

ただし、重篤化することもあり、壊死性腸炎を発症した場合は死亡することもあるため、注意が必要です。

ウェルシュ菌発生のメカニズム

ウェルシュ菌は私たちの身の回りに存在している細菌で、食品では主に肉類や魚類に付着しています。通常の調理法では特別に注意が必要ではなく、よく加熱して食品をとるようにすれば問題ありません。

しかし、煮込み料理の場合は注意が必要です。

このウェルシュ菌による食中毒は一般家庭ではさほど問題になることはないのですが、給食や仕出しなど大量に食事を作る施設が関係した集団食中毒の例が非常に多く、給食病などといわれることもあります。

特にカレーやシチュー、めんつゆなど、前日に大量に作り置きして常温で保管されているケースでウェルシュ菌の食中毒が発生しやすいのです。

二日目のカレーが美味しいといって作ったカレーを鍋に入れたまま常温保存していることはありませんか? 2日目に熱をかけるからと安心しているとウェルシュ菌による食中毒を起こす可能性が高くなります。

ウェルシュ菌の芽胞は熱でも壊れにくいため、十分加熱しても一部は残ります。しかし、カレーなどの食品が徐々に冷めていき、ウェルシュ菌にとって適温になると再び活発化して食品中で大増殖します。

特に粘り気の強いシチューやカレーといった食品は酸素が中まで浸透しないため、酸素を嫌うウェルシュ菌にとってはとても住み心地のいい場所となるのです。

ウェルシュ菌が大増殖してしまった食品を翌日火にかけて加熱すると、熱が徐々に加わるためにウェルシュ菌が芽胞に変化します。その結果、大量のエンテロトキシンが食品に溶けだし、いわば毒鍋になってしまいます。

これに気づかずにエンテロトキシンと芽胞となった大量のウェルシュ菌を食べてしまうことで食中毒が起きてしまうのです。

ウェルシュ菌に感染しないために

ウェルシュ菌に感染しないために重要なのが、食品に付着しているウェルシュ菌をできるだけ少なくすることです。

土いじりをした後やペットに触れた後などは、ウェルシュ菌だけではなく様々な細菌が付着しています。調理をする前は石鹸などできちんと手を洗いましょう。

また、肉類はウェルシュ菌に汚染されていることが多いです。そのため、まな板や包丁は洗剤で洗い、できるだけ肉類専用のまな板を用意すると他の食品に菌が拡大しにくくなります。

野菜類は有機肥料を使って栽培している場合は、ウェルシュ菌が付着している可能性があります。できるだけ使う前にはよく洗うようにしましょう。

また、煮込み料理を作る時にはよく加熱し、翌日食べる場合も氷で冷やして冷蔵庫で保存するといった工夫をするといいでしょう。ウェルシュ菌の食中毒は食品1gあたりウェルシュ菌が10万個以上に増殖しなければ発症することはほとんどありません。

40℃前後の温度で爆発的に増殖するので、食品が人肌の温度である時間をできるだけ少なくするのがコツです。夏場は特に食品を加熱しても温度が下がりにくく、気温が高いことからウェルシュ菌にとっては増殖しやすい時期でもあります。

食品を移し替えたりといった手間はかかりますが、私たちの身を守るという観点からぜひ実践して頂きたいです。煮込み料理以外の食品も、常温で放置せずに速やかに冷蔵庫で冷やすことにより、ウェルシュ菌のみならず他の細菌の増殖を抑えることができます。

 - 中毒症