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本業だけが無気力…遊びや趣味には熱中できる退却神経症とは?

      2017/01/13

本業だけが無気力…遊びや趣味には熱中できる退却神経症とは?

退却神経症は、日本の精神科医・笠原嘉氏が提唱した心の病です。いわゆる新型うつ病の一つとされる病気で、仕事や学業といった本来しなければならないことに対してだけ無気力、無関心になるという特徴があります。

この病気の患者には若い男性、特に学生が多く、そのためスチューデントアパシー(学生の無気力)という表現をされることもあります。

退却神経症の症状

一般的なうつ病では気力が低下し、強い不安や自責の念を感じるといった抑うつ症状をはじめ、食欲の低下や睡眠障害といった様々な症状が出ますが、退却神経症の場合は無気力、無関心という症状だけしか出てこない患者が大部分を占めます。

さらに、その対象となるのが主に本業(学生なら学業、社会人なら仕事)だけ、という点が退却神経症の最大の特徴です。

食べることも遊ぶことも、もちろん働くことも、あらゆることに対して無気力、無関心になってしまう一般的なうつ病に対し、退却神経症の患者は好きな趣味に熱中し、友人と遊びに出かけることはできても、仕事に対してだけはやる気が出せません。

一見ただのワガママとも思えてしまうこの状態が、退却神経症がはっきりとした病気として認められにくい原因なのですが、患者本人は決して甘えているわけではなく、なぜ本業に対してやる気が出せないのか、自分でもわからない状態なのです。

そして、他の人からは異常に見えるそのような状態に対して、特に危機感や焦りを抱くこともありません。本業に対してだけはなぜか関心を持てず、失敗した時の激しい悔しさや成功した時の大きな喜び、達成感といったものを感じられない、無気力、無関心、無感動、そして無快楽な自分を受け入れてしまっているのです。

退却神経症の原因

・もともと怠け気味ではなく、優秀で周囲の評価が高い
・細かいことにも手を抜けない完全主義者
・プライドが高く、敗北や他人からの否定を極端に恐れる
・自分の失敗を認めるより、他人や社会を責める
・手がかからない優等生という周囲からの期待を感じ、それに応え続けてしまう
・他人に心を開くのが苦手で、本当の自分を見せるのを嫌う

といった多くの退却神経症の患者に見られる特徴を手がかりに、いろいろなことが考えられていますが、残念ながら退却神経症のはっきりとした原因はまだ解明されていません。

ただし、食欲不振や睡眠障害などの諸症状が見られないため、他のうつ病のようにセロトニンが不足して起こるものではないと考えられています。

退却神経症診断チェック

以下は退却神経症かどうかを判断するための簡単なチェックです。当てはまる項目が多くなると、それだけ退却神経症の疑いが強まります。

  • 本業に対してやる気が出ず、出社拒否(登校拒否)など大きな支障が出ている。
  • 本業以外の趣味や遊びなどについては、特に大きな支障が出ていない。
  • 出社拒否(登校拒否)以外の症状(眠れない、食べられない、現在や将来への不安など)は特に出ていない。
  • 自分が本業に対して無気力であることを理解しているが、それに大きな不安や危機感を感じていない。
  • 何かを完璧にこなすことや成功すること、勝負に勝つことにこだわりやすい。

退却神経症の治療法

セロトニン不足によるうつ病なら、それを補う薬を飲むことで改善が期待できますが、退却神経症の場合には意味がありません。そのため、基本的には精神科医のカウンセリングを通して、退却神経症の一因となっている考え方を探り、それを解消、改善していくことになります。

たとえば、なにかをがんばりすぎて燃え尽きてしまったのか、あるいはそれに挑む前に逃避してしまったのか、それとも親や教師にいわれなければ、そうした目標を定めることがそもそもできないのか……。

事情は一人ひとり異なり、解決法も一つではありません。

また、退却神経症の患者は本業となる社会的活動を行わないため、昼夜逆転など生活習慣が乱れていることも多く、カウンセリングと同時に、決まった時間に3食をきちんと食べて夜は眠るという生活習慣の改善も行います。

その他、身体や脳に刺激を与え、気分転換にも役立つため有効とされる軽い運動も推奨されています。

退却神経症は短期間で大きく改善されることは少ないのですが、じっくりと長期間治療に取り組んでいけば次第によくなっていくことが多いです。

それには早期に真剣な治療を始めることが大切ですが、危機感を持たず治療の必要性を感じていない患者だけでは、そこまで進めないこともあります。そのため、周囲の手助けも重要となります。

退却神経症の予防法

退却神経症の明確な原因が分からないため、うつ病全般の予防をしていくことになります。

セロトニンを生成するトリプトファンを多く含む食品を食べる、ということだけは当てはまりませんが、それ以外のこと、たとえば規則正しい生活を維持するように心がける、毎日日光を浴びる、軽い運動を続けるといったことは退却神経症の予防にも有効です。

また、自分はうつ病になるわけがない、という考え方をせず、いつの間にかよくない思考に陥っていないか、やる気を失い始めていないかということを定期的に、客観的な視点でチェックすることも大切です。

もし自分だけでそれを行うことが難しければ、積極的に周囲の手を借りてみましょう。

 - 精神・心の病気