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言語発達に問題はないものの、注意したい病気・下垂体性巨人症

      2017/01/13

言語発達に問題はないものの、注意したい病気・下垂体性巨人症

成長ホルモンの過剰分泌で発症する下垂体性巨人症の症例は多くなく、難病にも指定されています。症状や治療に関する情報が他の病気と比べて少ないのが現状です。

しかし、かつては治療が難しかった下垂体性巨人症も現代の医療技術の進歩により早期治療が可能となっています。

下垂体性巨人症の症状

下垂体性巨人症の症状は様々です。医学的な診断の基準としては、最終的な身長が男性で185センチ以上、女性で175センチ以上となるような時は下垂体性巨人症の疑いが強いと見なされます。

身長が2メートルを超えるケースも多くあります。また手足が巨大化するという症状のみならず、舌が巨大化するという点や下顎が肥大化する点、それに唇が分厚くなるなどの点を考慮して最終的に下垂体性巨人症と診断されます。

他にみられる症状として、

・大量の汗をかく
・視力が低くなる
・頻繁に頭痛が起きる
・血圧が高い
・噛み合わせが悪い
・女性の場合、生理周期が異常
・甲状腺ホルモンが低下している
・性腺ホルモンが低下している

などの徴候が見られることもあります。

こういった症状だけでは確定診断は下せないため、成長ホルモンの分泌量を測定するためにブドウ糖を患者に与えて血中内の成長ホルモンの量やIGF-1の減少量を確認する手法が取られます。

血液検査で異常が認められない場合には、追加検査としてCTやMRIを撮影を行い、下垂体のトルコ鞍と呼ばれる部分が肥大化していないかや、下顎の肥大化、手足の先端にある末節骨が肥大化していないか等をチェックすることになります。

その他の指標として標準偏差を用いることもあり、1年間の成長速度が標準偏差で+2.0以上であれば下垂体性巨人症の疑いが強まります。

子どもが下垂体性巨人症になると言語発達が遅れるのではないかと心配する親もいますが、言語を司る脳の領域は視床下部とは異なるため、言語における知能の低下といった症状は見られません。言語発達は環境的な要因も大きく、下垂体巨人症との関連性は低いといえます。

下垂体性巨人症の原因

下垂体性巨人症は、脳の視床下部と呼ばれる間脳の一部にある下垂体が腫瘍化することによって起こります。腫瘍には良性と悪性がありますが、下垂体腫瘍は良性腫瘍に分類されます。

下垂体からは体の骨格、筋肉の発達を促す複数のホルモンが産生されており、その中でも成長ホルモンを産生する組織が増殖することによって、成長ホルモンが過剰に放出されるようになります。

多くの場合は下垂体の腫瘍化が下垂体性巨人症の原因となりますが、稀に視床下部の弓状核と呼ばれる部分の腫瘍化が原因のこともあります。この弓状核からは成長ホルモン放出ホルモンと呼ばれるホルモンが分泌されており、このホルモンが下垂体からの成長ホルモンの放出を強く促進します。

稀に家族性で下垂体性巨人症を発病する人もいますが、ほとんどの場合では家族性の遺伝子とは関係がなく、突発的な遺伝子変異による下垂体の異常発達による病気が原因となります。家族内に下垂体性巨人症の人がいた場合であっても遺伝する確率は低いといえるでしょう。

成長ホルモンは骨や組織の成長に深く関わっており、成長ホルモンが通常よりも多く分泌される結果、顔や手足が異常に大きく成長します。下垂体腫瘍が原因で起こる病気に先端巨大症がありますが、これは骨端線という骨の成長を司る部分の閉鎖前である成長期以降に起こることにより、手足の末端のみが巨大化する病気です。

子どもの骨端線が閉鎖する前に下垂体が腫瘍化すると下垂体性巨人症と呼ばれ、先端巨大症とは明確に区別されています。

下垂体性巨人症の治療法

下垂体性巨人症は先端巨大症とともに厚生労働省から難病に指定されているため、医療費の補助を受けることができるような制度が整っています。

下垂体性巨人症は下垂体の腫瘍化が原因による病気ですが、放置して自然に治ることはありません。そのまま放っておけば体の成長が過剰に進行するのみならず、糖尿病、高血圧、癌などになりやすくなるため、早期治療がいいとされています。

治療法として一般的なのは、蝶形骨洞という鼻の奥にある空洞を経由して腫瘍化した下垂体を取り除くハーディ法と呼ばれる方法です。ハーディ法であれば頭蓋骨を切り開く必要がなく、脳の組織へのダメージを最小限に抑えることができるのです。

腫瘍を除去した後に成長ホルモンの分泌量を測定し、正常化していれば治療に問題はありません。成長ホルモンの過剰分泌が続いているようであれば、成長ホルモンを抑える薬物によってコントロールします。場合によってはガンマナイフと呼ばれる放射線によって、再度下垂体の領域に照射することもあります。

確率は低いとされていますが、手術には合併症が起きる可能性もあります。手術の合併症として考えておくべき点は、各種ホルモンの低下と髄液漏です。

下垂体は成長ホルモンの分泌以外に、甲状腺刺激ホルモン、性腺ホルモン、副腎皮質刺激ホルモンなどのホルモン産生を担っています。したがって、切除してしまえば、各種のホルモンが低下する可能性があることは考慮しておかなければなりません。

また、脳髄液が漏れる可能性もあります。下垂体は膜を通じて脳髄液の通路と接しています。この膜が破損した場合には髄液が漏れて炎症が起きることがありますので注意が必要です。

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