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猫の出産に注意…Q熱は治療できる環境の少ない病気

      2017/01/13

猫の出産に注意…Q熱は治療できる環境の少ない病気

Q熱は家畜やペットによってリケッチアと呼ばれる微生物が感染することによって起こる病気です。日本では四類感染症に指定されており、毎年数人から数十人が発症しています。

Q熱は一般的に治りやすい病気ではありますが、1割程度は慢性化してしまい、慢性化してしまうと治りにくくなります。

Q熱の症状

Q熱の症状は感染後の急性期ではインフルエンザに似ており、高熱や頭痛、全身の筋肉痛、倦怠感、目の裏側の方が痛いといった症状が現れます。また、間質性肺炎を併発する肺炎型や肝機能異常を起こす肝炎型があることが知られていますが、どのような症状が出るかは人によって異なります。

感染症ではありますが、人から人への感染はほとんどありません。

血液検査を行うと、白血球の増加や肝機能の指標であるAST、ALT値の上昇、血小板の減少がみられます。

発熱は2週間程度続きますが、その後、治療を行わない場合でも自然治癒してしまう場合が多いです。しかし、Q熱を発症した方のうち1割程度は慢性Q熱に移行します。慢性Q熱では心臓の膜に炎症がおこる心内膜炎を起こすため、放置しておくと命に関わります。

また、慢性化すると全身の倦怠感や関節痛、不眠、無気力感やイライラするなどの症状が現れ、薬で治療してもなかなか治りにくくなります。

しかし、Q熱のような症状を引き起こす病気は大変多いため、Q熱かどうかは病原体を分離したり、血清を使った免疫診断で確定しますが、この検査を行える機関は非常に少なく、症例が少ないため見逃されてしまうこともあります。

Q熱の原因

Q熱を引き起こすのはコクシエラ(Coxiella burnetii)というリケッチアです。このリケッチアはちょうど細菌とウイルスの中間のような性質をもつ微生物で、ウイルスのように細胞に侵入しないと生きていけませんが、ウイルスとは異なり細菌のような形をしています。

コクシエラは自然界の多くの動物やダニに寄生しており、私たちの身の回りにいるウシやヒツジ、犬や猫などもコクシエラを持っています。それらの動物の糞や尿、あるいはミルクなどにコクシエラが含まれており、それらを触ってしまったり、粉塵を吸い込んでしまうことで感染します。

家畜を取り扱う人に発症することが多く、昔は原因不明の高熱がでることから不明熱といわれ、Q熱のQは不明=Queryに由来しています。

近年では猫からの感染報告が多く、猫の出産や流産によって大量にコクシエラが放出され、それを扱った人がQ熱を発症することがあります。これは、コクシエラが胎盤で大増殖することによるものと考えられています。

また、コクシエラは1個でも体に侵入してQ熱を引き起こすことができるため、大量にコクシエラを体に侵入させてしまうと発症までの期間が短くなったり、重症化する場合があり注意が必要です。

Q熱の治療法

ペットや家畜などに触れてコクシエラを吸い込んでしまうと約半数の人が2~3週間で発症します。残りの半数はQ熱を発症しません。特に家畜や猫などのお産や流産、飼育場に行ったなど、コクシエラに感染したことが疑われ、インフルエンザの様な症状が現れた場合は念のため医療機関を受診しましょう。

日本ではQ熱の検査は健康保険の対象外で全額自己負担になり、費用は1万円以上かかりますし、検査結果が出るまで非常に時間がかかります。

また、Q熱を専門的に診断、治療を行っている施設は大変少ないため、Q熱と診断された場合は遠方の専門施設まで行く必要があります。Q熱は基本的に細菌感染と同じように治療しますので、Q熱が疑われる場合でもひとまず一般的な感染症の治療が行われます。

治療は主に投薬治療となり、テトラサイクリンと呼ばれる種類の抗生物質を投与するほか、熱がある場合は解熱剤が処方されます。しかし、症状が落ち着いた場合も体の中にコクシエラが残っていますので、その後も1か月程度抗生物質を飲み続けなければなりません。

完全に治癒すると免疫ができるので、Q熱にかかることはなくなります。

多くの人は急性Q熱で治癒しますが、心臓病や腎臓に疾患のある人、臓器移植で免疫抑制剤を使用している場合など別の疾病にかかっている方では慢性化しやすい傾向があります。

慢性化したQ熱の場合も基本的に抗生物質の投与など投薬治療が主になりますが、微熱や頭痛、精神症状、心内膜炎などの症状が出てなかなか治癒できない難治性です。治療は年単位で続きます。

Q熱の予防法

世界各国をみてみると、家畜のお産のシーズンに感染する確率が上がります。家畜やペットなどの動物では人のようなQ熱のような症状が現れることはほとんどありませんが、胎盤の中でコクシエラが増殖するため死産や流産をしやすくなります。

死産や流産をした際の片づけの際は手袋やマスク、防護用の眼鏡をかけて使い捨てのガウンやエプロンを着てコクシエラを体内に入れたり、拡散することがないように注意しましょう。

ペットでは猫からの感染例が多いですが、外に散歩に出る猫や野良猫がコクシエラを持ったマダニに刺されることによってコクシエラを保菌してしまいます。家で猫を飼う際には完全室内飼いを行うようにしましょう。

猫以外でも外でマダニに刺されやすい犬では、マダニに刺されないように忌避剤をつけてあげ、大切な家族がコクシエラに感染しないように心がけましょう。

海外旅行の際は市場で家畜が屠殺されたり、未殺菌の乳製品などが販売されていることがあり、そこからコクシエラに感染するケースがあります。生ものは基本的に口にせず、市場や家畜を飼育している場所などではむやみに動物に触れず、できればマスクなどをして口や鼻からのコクシエラの侵入を抑えましょう。

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