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動物の血清を用いることでおこる血清病とは?

      2017/01/27

動物の血清を用いることでおこる血清病とは?

概要

ジフテリア、破傷風、狂犬病、ボツリヌス菌による中毒、ハブやマムシなどの毒ヘビにかまれる蛇咬症など、血液に毒が入った場合は次のような対策をとります。

あらかじめ他の動物(馬など)にこれらの毒を与えておくと、それに対してその動物が異物となるもの(抗原)が入ってきたと判断してその異物に対して対抗する物質(抗体)を作り出します。

このように抗体をつくって、抗原を攻撃しようというシステムが動物の体内にはあります。

この異物を攻撃するためのシステムを抗原抗体反応といいます。

抗原抗体反応の結果として、その毒を投与した動物にその毒を排除しようとする抗体がつくられたら、それを人間に投与します。

それにより人間の体内にその毒を攻撃する抗体が入ってくることでその毒を無毒化する事が出来ます。

毒蛇にかまれた場合を例にあげましょう。

毒蛇にかまれた場合には咬んだ蛇と同じ種類の蛇の「抗毒血清」が使われます。

血清とは、血液が凝固したときに上澄みにできる淡黄色の液体成分のことです。

血液を採取して試験管に入れておくと、凝固して沈殿物(血餅)と液体(血清)に分かれます。

これを遠心分離にかけると、容易に血清を取り出すことができます。

ヘビ毒の「抗毒血清」は、現在は馬の血液から作られています。

毒蛇から採取した毒液をごく少量だけ馬に注入して、約半年をかけて体内でその毒の抗体を作らせてから「血清」として精製します。

この「抗毒血清」にはあらかじめ蛇の毒を攻撃する抗体が入っているため、この血清を人間の体に投与する事で蛇の毒を無毒化する事が出来ます。

しかし、まれに投与した血清自体を人の体が異物(抗体)とみなして、その異物に対して対抗する物質(抗体)を作り出してしまう事があります。

そして、この抗体が攻撃をはじめる事により腎臓や関節等の組織に障害が引き起こされます。

これを血清病(けっせいびょう)と言います。

血清病の症状

血清病の症状としてよく見られる症状は発熱、頭痛、全身倦怠感のような風邪によく似た症状、そして発疹がでてじんましんのような症状が引き起こされるケースもあります。

リンパ節の腫れや関節の痛みなどの症状もよくみられる症状として挙げる事ができます。

そして、むくみや白血球の減少、尿にたんぱくが出るなどという症状も見られるようになります。

これらの症状は血清注射後1~2週間で発生します。

そして、2回目の注射ではより少ない量の血清で、初回の投与時よりも早く(大体8日以内くらい)、より激しく症状が現れてしまうことになります。

軽いものであれば、症状も数日で消えていきます。

ただ、なかには重症化してしまい、血管炎や心筋炎、腎炎といった症状を引き起こしてしまうケースもあります。

このような症状が現れるところまで至った場合は、治療はかなり長引く事になります。

また、薬物が原因である場合は、発熱、全身のだるさ、じんま疹、関節の痛み、腎炎、神経炎といった症状が引き起こされることになります。

これらの症状については、薬物を使用してから、1~3週間で現われます。

通常の場合であれば、これらの症状については薬物の使用を中止すれば数日で消えます。

血清病の原因

昔は細菌や動物の毒によっておこる中毒症に対して、ウマなどからつくる血清を使用したため、アレルギー反応が生じ、血清病がおこることが多かったのです。

かつては破傷風やジフテリアのような病気の予防や治療の手段として、馬の血液から作る血清を使用するケースが多かったので、それらの血清を原因とする血清病が多く発生してきたという歴史があります。

しかし、医学や衛生知識が発達した現代の日本においては破傷風やジフテリアという病気が発生するケース自体が激減しています。

しかし、アレルギー反応が生じやすいという問題点から種の異なる動物の血清を用いるというケースも減少しています。

したがって、現代の日本においては血清病の原因は破傷風やジフテリアという病気の血清ではありません。

現代の血清病は薬物の投与を原因として引き起こされるものがほとんどになります。

特にペニシリンなどの抗生物質、サルファ剤、ヒダントイン系薬物、サイアザイド(チアジド)系利尿薬などの薬物を使用する事で発生する血清病が多くなっています。

これらの薬物の成分を人間の体が異物(抗原)とみなしてしまい、その異物に対して対抗する物質(抗体)をつくって、攻撃をはじめてしまうことにより血清病の症状が発生してしまうというものです。

血清病の診断

血清病という診断が下されるのは薬物投与後に一定の時間が経過するまでの間に何らかの血清病が疑われる症状が発生した場合になります。

血清病の場合には血液検査を行うと白血球の数の増加が見られたりするケースがあります。

また、尿を採取すると尿にたんぱくが出ているケースや、血尿が発生しているケースも見られます。

ただ、いずれの症状についてもその症状だけでは血清病特有の症状とは言い切れない症状であるため、これらの検査結果によって血清病と判断されるケースはあまりありません。

しかし、そのように血清病かどうかが明確に分からないようなケースでは皮膚試験が行われるケースが多くみられます。

皮膚検査では血清病の原因と疑われる物質を皮膚に塗布する事によりその皮膚の反応を見て、原因可能性の有無を判断するという検査を行います。

つまり、薬物を原因とする血清病が疑われるケースであれば、ペニシリンなどの抗生物質、サルファ剤、ヒダントイン系薬物、サイアザイド(チアジド)系利尿薬などの薬物を皮膚に塗布して、その反応を見る事という検査を行います。

これらの薬剤を塗布して皮膚が赤くはれるなどの何かしらの皮膚反応が見られた時は血清病の発生を疑う事になります。

血清病の治療方法

血清病の症状が発生した場合には、まず原因となる血清や薬物の使用は停止することになります。

それに加えて症状が経度の場合であれば、皮膚の湿疹やかゆみには抗ヒスタミン剤という薬剤を用いて対処する事になります。

ヒスタミンはアレルギー症状の原因となる物質です。

抗ヒスタミン剤はこのようなヒスタミンの作用を抑制する効果を持つ薬剤です。

また、関節痛や発熱については非ステロイド系の消炎鎮痛剤を用いて対処します。

非ステロイド系の消炎鎮痛剤とはその名の通りステロイドが使われていない薬です。

ステロイドは体の中の炎症を抑えるのや体の免疫反応を抑えるのに優れた反応を示す一方で、様々な副作用も報告されています。

非ステロイド系の消炎鎮痛剤は市販されているものであればバファリンなどのことです。

非スステロイド系の消炎鎮痛剤でも軽い症状の炎症や痛みであれば抑えることは十分可能になります。

しかし、症状がよくならない場合や症状がひどくなってしまい腎炎、神経炎、血管炎、心膜炎などを合併して引き起こしてしまった場合には別の治療が必要になります。

具体的にはプレドニンという薬品を投与するケースが一般的です。

プレドニンは現在炎症を抑える上で最も強力な作用があるとされている薬剤です。

ただ、プレドニンは長期間使用すると副作用が見られるため、慎重に使用するようにします。

血清病の対応策

まず、馬などの動物の血清を用いる事により血清病が発生した場合の治療法です。

この場合は馬などの異種動物の血清を使う事を中止するというのが一番の対応策になります。

そして、人の血液の中で作り出されたため、投与された人の体の抗原抗体反応を引き起こしづらいと考えられる人血清を用いるように変更します。

しかし、人血清が存在しないケースなどもあり、どうしても馬などの異種動物の血清を用いる必要が生じるケースもあります。

このような場合には治療を始める前に、最低限の皮膚検査を事前に行っておく事になります。
具体的にはまず皮膚をひっかいて血清を滴下させるなどのテストを用います。

このようなテストを実施して、皮膚反応の有無を事前に確認しておきます。

このテスト結果を踏まえて、血清病の発生可能性が無いという事を慎重に判断して、治療に異種動物の血清を用いるかどうかを判断する事になります。

また、薬物による血清病の場合も基本的には同じ対応策をとります。

つまり、原因と推定される薬物の使用を停止する事により血清病の症状に対処します。

ただ、薬物を投与する場合には事前に皮膚検査を実施しておくというケースはほとんどありません。

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