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橋本病

      2017/01/27

橋本病

橋本病の概要

橋本病は、甲状腺に慢性の炎症が起きている病気なので、慢性甲状腺炎ともいわれます。

甲状腺炎は、リンパ球や抗体が自分自身を攻撃することによって起こる「自己免疫疾患」です。

免疫とは、外からの敵に対し自分の体を守るのが本来の働きなのですが、自己免疫疾患というのは、それとは逆に自分の体に対して反応してしまっている状態のことをいいます。

1912年に橋本策(はかる)先生が発見したことから、橋本病と言われています。

橋本病という病名であることから日本人に多い病気と思われるかもしれませんが、アメリカでも50代の10人に1人が橋本病であるとされ、アメリカのテレビで医療系ドラマを見ていると、この橋本病の名前が出てくることがあります。

橋本病は学童期には少なく、20歳代から見られ、30~40歳代の女性で多くなり、45歳~65歳の女性で10人に1人は橋本病があるといわれています。

ただし、橋本病は症状が出ないまま気づかずに生活している人が多く、約70%の人が無症状・無自覚であるとされています。

橋本病は甲状腺ホルモンが不足することにより起こる病気です。

甲状腺機能低下症ともいわれ、甲状腺ホルモンが少ないことが引き金となってさまざまな症状が表れます。

橋本病の症状

橋本病の症状は、甲状腺に炎症が起こっている場合と、甲状腺機能が低下する場合とがあります。

甲状腺に炎症が起こると甲状腺が腫れることがあります。

甲状腺は首の前部にあり、蝶々のような形をしています。

甲状腺が腫れると、表面がゴツゴツとして硬くなります。

甲状腺機能が低下して起こる症状は、以下のようなものがあります。

・首元が腫れている(腫れているように感じる)
・疲れやすくなった(けだるいような疲労感)
・無気力になることが増えた
・寒い時期や季節がつらくなった
・真夏でも暑さを感じす、汗も出ない
・全身の筋肉が硬くなったように感じる
・睡眠不足ではないのに、いつも眠気がある
・食事の量は変わっていないのに体重が増える
・顔や手がむくんだような気がする
・便秘をすることが増えた
・月経不順、月経過多
・不妊、流産しやすくなる
・髪の毛が抜ける
・物忘れがひどい
・皮膚がかさつく
・声がかすれる
・動作や話し方がゆっくりになる
・計算力の低下
・脈がゆっくりと徐脈になる
・心臓の動きが弱くなり脈拍数が低下する
・高コレステロール血症
・動機
・イライラ
・湿疹
・血糖値異常

甲状腺の炎症といっても、何年もかけてゆっくりと起こるので、痛みや発熱が出ることはまれです。

橋本病だとしても、甲状腺機能はほとんどの場合正常なので、治療の必要がないことも多いのですが、加齢とともに甲状腺機能低下症の頻度が増します。

甲状腺機能低下症の大半は橋本病が原因です。

橋本病の原因

橋本病のように、甲状腺に対する自己免疫疾患が起こるのは、外からの敵に対して自分の体を守るはずの免疫が、自分自身の甲状腺に反応しやすい体質を持っているのが理由です。

この体質というのは、遺伝子で決められるものなので、橋本病の原因は遺伝ということになります。

しかし、それだけでは橋本病は発症しません。

橋本病が起こるには、遺伝的な因子に加えて、何らかの環境因子が関わっていると考えられています。

発症を誘因するものとしてよくみられるのは、出産や大きなストレスのほか、ヨードの過剰摂取があります。

橋本病との関連が判明している遺伝子としては、HLA-DR多型、HLA-DR3、HLA-DR4、HLA-DR5、T細胞の調節因子であるCTLA-4の多型とがあります。

しかし、これらの遺伝子との関連は、橋本病だけではなく、1型糖尿病、アジソン病、悪性貧血、白斑症など多くの自己免疫性疾患でも認められていることではあります。

甲状腺機能低下症や甲状腺腫を誘発することで知られている慢性的なヨードの過剰摂取によって、橋本病の患者はその影響を強く受けるということが知られています。

病理学的な特徴としてはリンパろ胞の形成、円形細胞のび慢性浸潤、結合組織の新生、甲状腺上皮細胞の変性です。

臨床上は重要な診断マーカーとして、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体)、抗サイログロブリン抗体(抗Tg抗体)がありますが、橋本病の病因としては進行中の自己免疫反応を増幅させる2次的なものと考えられています。

B細胞が産出する甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHレセプター)に結合するTSH受容体抗体によって引き起こされる甲状腺濾胞細胞の機能亢進と増殖が、バセドウ病の病態の本態であるのに対して、橋本病はT細胞による組織破壊が病態の中心であると考えられています。

橋本病の診断

橋本病であるかどうかの検査は、甲状腺ホルモンを測定することが大切です。

血液検査で、甲状腺ホルモン・T3・T4・蛋白に結合していない自由であるfT3・fT4を測定します。

この血液検査を行うと、橋本病の場合、すべての数値が低下しています。

その一方で、脳の下垂体から出される甲状腺刺激ホルモンは増加していて、甲状腺ホルモンを出すように命令しているという状態です。

橋本病では、甲状腺に含まれる成分に対して自己抗体が作られるます。

甲状腺に対する抗体検査には、サイロイドテスト、マイクロゾームテスト、TgAb、TPOAbがありますが、抗サイログロブリン抗体と抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体が橋本病では陽性を示します。

超音波検査で甲状腺の大きさの測定も行いますが、橋本病が長期であったケースでは、甲状腺の縮小が認められます。

甲状腺に針を刺して、甲状腺組織の一部を採取し、顕微鏡で炎症を確認することがもっとも正確な診断ができる方法です。

しかし、この検査方法だと痛みを伴うことになるため、実際に行うのはがんとの鑑別が必要なケースだけであり、甲状腺の腫れと血液検査だけで診断できるような診断基準というものが作成されています。

橋本病の治療方法

甲状腺が腫れていたとしても、甲状腺ホルモンの値が正常であれば、甲状腺の大きさや、甲状腺ホルモンの状態を年に1~2回ほどチェックして様子を見るのが一般的です。

甲状腺が腫れていて、甲状腺ホルモンが低下している場合は、補充療法を行うことになります。

橋本病の治療薬は、合成甲状腺ホルモンであるサイロキシン (T4)、レボチロキシンナトリウム(チラーヂンS)が用いられます。この治療薬は、半減期(血中で半分になる期間)が長いことから、1日1回の内服で十分とされています。甲状腺刺激ホルモンが正常になるように甲状腺ホルモンを補充するわけですが、このケースでは、血液検査で確認しながら薬の量を調整していくことになります。

治療には時間がかかるため、薬の服用を忘れたり、治療をあきらめたり、怠ることなく薬を飲み続けなくてはいけません。

しかし、サイロキシン (T4)、レボチロキシンナトリウム(チラーヂンS)は、体調に合わせて薬の量を変えるような薬ではありませんから、その点では心配なく用いることができると思います。

甲状腺ホルモンが足りない状態が長く続くようなことがあると、心臓の働きが弱くなることや、肝機能が低下することなどがあります。

それにより体の新陳代謝が低下してしまうため、体全体へさまざまな影響が出ることがあります。

甲状腺ホルモン不足は血中コレステロールを増加させることにつながり、動脈硬化を引き起こす場合もあります。

橋本病の対応策

橋本病が医療費補助の対象になっている自治体もあることから、橋本病について難病なのかもしれないと心配される患者さんがいます。

しかし、ここまで説明したように、無症状・無自覚の人も多く、甲状腺ホルモンの測定を定期的に受けて、甲状腺ホルモンが低下しているということであれば、甲状腺ホルモンの服用をしたらいいというだけのことなのです。

ですから、橋本病と診断されても、心配し過ぎることはありません。

ただし、妊娠する可能性のある女性の場合、妊娠中においてはきわめて軽度の甲状腺機能低下症であったとしても、生まれてくる子どもの知能が低くなるという報告があります。

また、不妊や流産が増えることもありますので、妊娠前後には甲状腺機能を調べておくようにしてください。

橋本病ではヨードの摂りすぎが原因の一つであることについて触れましたが、ヨードを多く含む食べ物として海藻があります。

その中でも昆布がヨードを多く含みます。

ひじきやわかめ、のりなども食材としては注意が必要ではありますが、これらを大量に摂取する人というものはまれでしょう。

また、うがい薬の中にはヨードを多く含むものもありますので、うがい薬も大量に飲むことはないと思いますが、橋本病である場合は注意してください。

甲状腺が腫れていても、それが橋本病であるというわけではありません。

しかし、のど仏の骨の下にある気管(押さえると苦しいところ)の両側に親指と人差し指をおいて、つばを飲み込んだときに、正常であれば甲状腺には触れません。

気管のそばに腫れたものがあったり、つばを飲んだときに指の裏側で何か動くものが触る場合は、甲状腺の腫れも考えられます。

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