アレルギー・ヘルスケア119番

鼻炎やアレルギー、アトピーや健康全般についての情報サイト。

*

臓器移植の拒絶反応とリスク、移植片対宿主病(GVHD)とは?

      2017/01/27

臓器移植の拒絶反応とリスク、移植片対宿主病(GVHD)とは?

拒絶反応や移植片対宿主病の概要

人の体には自分の体ではないもの、つまり異物(抗原)を認識すると、その抗原を排除しようと攻撃をはじめる機能があります。

この自分の体でないものを攻撃するという人間の体の反応を免疫反応といいます。

臓器移植を受けた人の体にとっては、他の人から提供してもらった臓器は異物と判断されるので、免疫反応が生じて移植された臓器への攻撃がはじまります。

これが臓器移植後の拒絶反応です。

また、これとは全く逆の現象もあります。

それが「移植片対宿主病(GVHD)」です。

移植をされた臓器にとっては、臓器移植を受けた患者の体は異物になります。

そのため、移植された臓器自体が免疫反応を生じて、臓器移植を受けた患者の体自体に対して攻撃を始めるというケースがあります。

これが移植片対宿主病(GVHD)という症状です。

これらの拒絶反応の起こりやすさは、移植を受ける人と臓器を提供する人のHLA(ヒト白血球抗原/組織適合抗原)型と血液型の相性によって異なります。

そのため、白血病などの場合には、骨髄移植の際にドナーの脊髄の型の一致が重視されます。

ドナーと型が一致していない場合には、臓器を移植しても拒絶反応によって生命が危険にさらされるためです。

拒絶反応や移植片対宿主病の症状

拒絶反応には3つの種類があります。

それが「超急性拒絶反応」「急性拒絶反応」「慢性拒絶反応」です。

超急性拒絶反応は人から人への臓器移植では通常ほとんど起こりません。

しかし、血液型不適合間の移植で事前に必要な措置を講じていない場合には、発生する可能性があります。

移植直後から発生する激しい拒絶反応で、移植後数分から数時間で臓器は血栓でつまってしまいます。

この場合は、すみやかに臓器を摘出するしかありません。

つぎが、急性拒絶反応です。

通常1週間から3か月の間に発生する拒絶反応です。

急性拒絶反応が出ると、移植された臓器の中の血管や細胞の間にリンパ球が集まって臓器が膨れ上がります。

その結果、移植臓器に応じて様々な症状が発生します。

たとえば、腎臓移植であれば、腎臓が腫れ、尿が減り、熱が出る、たんぱく尿が出るなどの症状があります。

最後が慢性拒絶反応です。

これは通常3か月以後に発生します。

この拒絶反応では移植臓器の動脈の血流が阻害されて、徐々にその臓器の機能が失われていきます。

移植片対宿主病(GVHD)にも2つの型があります。

それが「急性GVHD」、「慢性GVHD」になります。

急性GVHDは移植後早期に発生し、皮疹、下痢、肝障害などをきたし、重症になると多くの内臓に障害が生じます。

これに対し慢性GVHDは移植後3か月以上してから、場合によっては数年経過後に発症し、皮膚症状、目の乾燥、口内炎、肝障害など多彩な症状がでることがあります。

拒絶反応や移植片対宿主病の原因

拒絶反応は骨髄で生成される白血球の一種であるリンパ球の働きが原因となって引き起こされるものです。

免疫機能の働きにより、このリンパ球が移植された臓器に対して攻撃を仕掛けることが原因で引き起こされます。

臓器の場合は、白血球の血液型に相当するHLA(ヒト白血球抗原/組織適合抗原)が自分のものなのかそれとも異物なのかを見分ける役割を果たしています。

拒絶反応に最も関係しているのは、HLAの中で主としてHLA・A、HLA・B、HLA・DRと呼ばれるもので、人間はそれぞれ2つずつ計6種類もっています。

このパターンが一致するのは兄弟姉妹で4人に1人、兄弟姉妹以外になると500~1,000人に1人の割合になります。

また、移植を受ける人の体にリンパ球があるように、移植された臓器にもリンパ球が残っています。

移植を受ける人の免疫力が高ければ、移植された臓器のリンパ球が適合性が無いものであった場合は異物として攻撃してしまうので問題ありません。

ただ、この移植を受けた人の免疫力が弱く、この移植された臓器の適合性のないリンパ球が生き続けた場合は、逆に移植を受けた者の臓器を異物と認識して攻撃するようになります。

これが移植片対宿主病(GVHD)の原因となります。

拒絶反応や移植片対宿主病の診断

できる限り臓器移植の際の拒絶反応を少なくするために、臓器移植を受ける場合には事前に提供された臓器と移植を受ける人の相性をみる組織適合性検査が行われます。

この検査では赤血球の血液型(ABO型)、白血球の血液型(HLA型)の適合度や、移植を受ける人の血液中に提供者のリンパ球に対する抗体が存在しないかを確認します。

提供者のリンパ球に対する抗体があった場合には、移植した臓器に対しての攻撃がはじまってしまうので移植することはできません。

それ以外の場合には、臓器の種類によっては血液型が違う場合などでも移植を実施するケースが増えてきました。

このような血液型不整合移植では、血液型抗体を調べます。

こららについては血液検査によって事前に調査しておきます。

また、実際に拒絶反応が出ているかどうかについても、血液検査や尿の採取を行うことで診断します。

拒絶反応が発生している場合には、血清クレアチニンが徐々に上昇します。尿たんぱくが出たり血圧の上昇、貧血、むくみが進みます。

血液検査で診断できないときは、臓器の組織を一部取って調べる検査を行います。

臓器移植を受けた場合、臓器移植が完了したら終わりになるのではなく、その後も末永くその臓器と付き合っていくことになります。

そのため、拒絶反応の有無を調べるためにも定期的な受診を怠らないことが大切です。

拒絶反応や移植片対宿主病の治療方法

近年は、免疫機能の働きによる拒絶反応を抑えるための優れた免疫抑制薬がいくつか開発されています。

拒絶反応の予防にも拒絶反応が発生した後の治療にも、これらの免疫抑制剤が用いられています。

しかし、免疫機能というのは人体にとってはなくてはならない機能です。

したがって、むやみに免疫機能の働きを抑えようとすると、逆に細菌などに対しての抵抗力も無くなってしまいます。

免疫抑制剤については、副作用が無いものは存在しないということを意識しておいてください。

免疫抑制剤を使用すると、重い感染症を引き起こしやすくなるため、投与量や薬物の血液中の濃度に対しては常に注意を払っておく必要があります。

臓器移植を受けた人は免疫抑制剤を長い間(多くの人は一生の間)、飲み続ける必要があります。

臓器移植で用いられる免疫抑制剤として有名なものは、心臓や肺の移植で使われるシクロスポリン、そして、腎臓、肝臓、膵臓、腸管の移植に使われるタクロリムスが挙げられます。

それぞれ臓器移植の拒絶反応を抑えるという面では優れた薬ですが、シクロスリポンについては高血圧を引き起こすという副作用が、タクロリムスについては糖尿病を引き起こす可能性が高いという副作用があります。

拒絶反応や移植片対宿主病の対応策

拒絶反応を抑えるためにできることは、移植される人の体とできる限り適合性の高い臓器を移植することです。

赤血球の血液型(ABO型)、白血球の血液型(HLA型)の適合度の検査を行い適合度の高い臓器を選定することが肝要です。

また、免疫抑制剤の量を適切に処方することも重要になります。

ちなみに、移植片対宿主病(GVHD)には、輸血血液中に含まれる提供者のリンパ球が増殖し、血を輸血してもらった人の全身組織を破壊するという「輸血後GVHD」という疾患があります。

輸血をした後に激烈なアレルギー反応をきたして死亡するという疾患です。

この輸血後GVHDについての予防策として、血液を輸血する際には下記のような対策があります。

①新鮮血(採血後3日以内のもの)の輸血を避けること
②出来る限り自分の血を輸血する自己血輸血を行うこと
③血液製剤中に含まれるリンパ球数を最小限にすること
④血液製剤に放射線を照射すること

これらの中では放射線を照射するという対策が最も確実な方法です。

あらかじめ輸血用血液製剤に放射線照射を行い、輸血用血液製剤中のリンパ球の増殖機能を奪います。

このような対策を取ることで、拒絶反応の発生を最小限に抑えるように対策することが大切です。

 - Ⅳ型, アレルギーの種類